moonfishwater28’s diary

気がつくとわたしの心から音楽が奪われていた。取り返そうとするけれど、思い出すのは昔のレコードばかり・・・今はもう手元に無いレコードたちを思い出しながら記憶の隅に眠る音、内側を作る本の言葉を集めたい。

90歳何がめでたい  佐藤愛子著

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佐藤愛子から遠ざかって40年ほど経つだろうか。高校時代、文芸クラブの顧問にこう聞かれた。「今、何読んでる?」わたしは即座にこう答えた。「佐藤愛子!」顧問曰く「アホ!純文学読め!純文学!」~「はー、そういうものか」と思い、純文学を読もうとするのに一向にはかどらず、月日は流れた。私の中には「佐藤愛子読むべからず」という単純なベクトルが刷り込まれた。

 最近、テレビのインタビュー番組などに登場される「佐藤愛子」は、素敵に歳を重ねていて、こんな90歳になりたい、と思わせる上品な風情。言葉のやり取りもとてもゆったりと一言ひとことを、感慨深く選んでいる様子が見て取れる。

それほど「短気」には見えないが、本書ではあちこちに、怒りが見て取れる。小出しにすると「怒り」もこれほど面白おかしくなるものだろうか。

好きなのは「ソバプン」のはなしと「思い出のドロボー」のはなし。

どれも佐藤愛子節健在!ということで、クスッと笑う感じは昔のまま。また、読者に手紙を書くように文章のあとにカタカナのゴメン、が時おり入るのもなんだか嬉しい。