子どものためのコルチャック先生 井上文勝著
第二次大戦下、ナチズムが猛威をふるっていた時代、孤児たちのための施設を作り、子どもの権利条約を制定。子どもの存在をしっかり受け止め、けして逃げなかったポーランド人~ヤヌシュ・コルチャック。
子どもの悲しみを尊重しなさい。たとえそれが失ったおはじきひとつであっても。また、死んだ小鳥のことであっても。
子どもをひとりの人間として尊重しなさい。子どもは「所有物」ではない。
子どもにはじぶんの教育をえらぶ権利がある。よく話を聞こう。
子どもは愛される権利を持っている。自分の子だけでなく、他人の子どもも愛しなさい。「愛」は必ずや返ってくる。
子どもがじぶんたちの裁判所を持ち、お互いに裁き裁かれるべきである。大人もここで裁かれましょう。
子どもは宝くじではない。ひとりひとりが彼自身である。
子どもがあやまちをおかす。それは、子どもがおとなよりおろかだからではなく、人間だからだ。完全な子どもなどいない。
子どもにも秘密をもつ権利がある。たいせつなじぶんだけの世界を。
子どもの持ち物やお金をたいせつに。大人にとってつまらぬものでも、持ち主にとってはたいせつな宝。
子どもは幸せになる権利を持っている。子どもの幸せなしに大人の幸せは在り得ない。
子どもは不正に抗議する権利を持っている。圧制で苦しみ、戦争で苦しむのは子どもたちだから。
子どもの権利条約とはこのように、わかりやすく「子どもに寄り添う」とはどういうことかを説いた条文であった。第二次大戦下をはるかに過ぎた今現在でも充分通じる内容である。コルチャックを、理想化し、難しく論じる気はない。誰もが、知っておかなければならないこと、そうなりたいと思えば誰でも本当の子どもにとっての「盟友」なれるのだということ、伝えたいのはただそれだけのこと。