moonfishwater28’s diary

気がつくとわたしの心から音楽が奪われていた。取り返そうとするけれど、思い出すのは昔のレコードばかり・・・今はもう手元に無いレコードたちを思い出しながら記憶の隅に眠る音、内側を作る本の言葉を集めたい。

ウンベルト・サバ詩集     みすず書房  須賀敦子訳

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カッフェラッテ

 

つらいと

おもう。そうなってほしい

とおもうだけ、おもうように

なってくれない。

 

もうすこしだけ、いとしい

少女よ、

ぐっすり眠りたい、彼女はおもう。

すこしだけ

目をあいたまま、夢みていたいと。

やがて、しずかに、揺り籠に

身をささげた、

老い

召使が入ってきて、

 

待ちこがれた飲みものを

さしだして、くれたら。

ミルクはアルプスのミントの香り、

黒い

カッフェは海の彼方の薫り。だが、

寝床のそばにいるのは、彼女の母親、

むっつりとさしだす

家庭用ブレンド。

 

ほんとうなら、ゆっくりと

起きて、

生活が、聞きとれぬほどの囁きみたいに

しか入らない

部屋がほしいのだけれど。彼女を待っているのは、

ふんわりとしたアームチエアと本が一冊。

それから、おしゃべりでない

考えがひとつ。

 

それなのに、いつもの

うるささで、

母親の声がせきたてる、

お仕置きみたいに

おそろしい、一年まえから、

白いのは白いシーツだけではなくて。

カッフェラッテでないのを、

ぐっと飲む。

 

つらい気持で、

起きる。だが、ゆっくりと

戻ってくる

幸福の想い。

 詩集は、声を出して読んでみると、空気に色がつくように声と言葉が一緒になって、別の景色が見えてくることがあります。この詩集も、心の中で読んでいるだけではわからない何かが、空気に触れた途端に動き始めます。

テレンス・トレント・ダービー

 

 


孤高のカリスマというキャッチフレーズがついていたのを覚えている。どこかスピリチャルな雰囲気が漂うテレンス・トレント・ダービー。「Sign your Name」は、いちど聞いたら忘れられない、強烈な印象を残した。ブルースとかゴスペル系の人かと思っていたら、「Danse  Little  Sister」などロック調の曲も多いし、小柄ながら独特の振り付けのダンスも踊っている。

現在は名前を変えて活動をしている。仏教徒の雰囲気があるが、カトリック教徒だという。

 

ギルバート・オサリバン

 

 

 

youtu.beアルバートハモンドギルバート・オサリバンが、ごっちゃになっており、最近まで区別がつきませんでした。ギルバート・オサリバンはボーカルの声の強さのせいか、どの曲も惹きつけられます。

「we will」はのどかな昔の家庭の様子を歌った曲で、じっくり歌詞を味わいたい。

 

 

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ラジオ

敬老の日のラジオが良かった。「オヤジのロック三昧」とかで、しぶいところが、わんさかかかり、いろいろな方々の洋楽が聞けて嬉しかった。わたしの好きな「ボブ・デュラン」もかかったし、「ポール・マッカートニー」、「ツエッペリン」、「クイーン」もありました。この頃、よく「ニール・ヤング」もかかるようになったし、紙とペンを持って慌ててメモすることもしばしばです。

絵を描くために缶づめになることがある部屋にはラジオと携帯しかないのです。

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新しいラジカセは、時代の流れに逆らってカセットテープの録音機能付です。今のところ、童謡やスマップの曲しか録音していませんが。あんまりごちゃごちゃとカセットテープが散乱するのも嫌なので、厳選して「わたわた」と録音しています。昔、こんなこと、良くやってたなあ・・・なんて思いながら。

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ブルーハーツ      少年の詩

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先日、Vが泊まりに来ました。なんとなく、この唄が思い浮かびました。学校の先生と、それに従うことに汲々としている両親を、等身大の大人、とイッパひとからげに感じてしまう子ども達を、もう一度目の当たりにして複雑な心境でした。それでも、まだ八歳になるかならないかの彼には、お豆腐みたいな優しさも必要なのでした。少し落ち着かないなと感じる時にはうんと優しい童謡を聞かせたりします。

映画「ステッピング・アウト」より    ライザ・ミネリのダンス

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ライザ・ミネリの、タップダンス寄りの踊り。少し古い映画ですが、素人の街の女性たちにタップダンスを教える先生、という役どころでした。堂々としていて迫力があるけれど、バレエ的な足を高く上げるなどという要素はあまりなく、今で言う「キレッキレッ」という感じを上品に残していて、大スターの風格を堪能出来ます。

夏が終わって

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夏の収穫はバッタ一匹、トンボ一匹、しおからトンボ二匹、糸トンボ一匹、蝉一匹でした。ばっさばっさ一諸に草はらを歩く。しげった雑草のすきまからぴょんとバッタが飛ぶ。

「ほれほれいたよ」と指差すとVはすぐにわかって網を落す。

それから注意深く虫かごにバッタを入れる。

草をひとかけらちぎって入れ「これを入れるとバッタが安心するんだよ」と言うとかなり納得している。「もっと入れよう」と、言って草をちぎって入れている。あとでここの庭をきれいに掃除してバーベキュー出来るようにしようか、と言ってみた。

Vは「でも」と言った。

「そうしたらきっと虫がいなくなるよ」

「そうだね」と私も言った。

草がざあっとゆれる。

Vは「虫がいてくれて採ることが出来て感謝してるんだよ。ありがとうって思っているよ」

と言ったのでわたしは泣きそうになった。雑草だらけで良いと言うVの気持ちは昔、草はらを駆け回って遊んだ昭和の時代の少女のそれと似ていた。

でも、秋のコスモスがゆれているのもいいな・・・言葉にはせずに胸の中にそっとしまった。