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文盲     アゴタ・クリストフ

ハンガリー人。20代にスイスに亡命。単調な生活の中で小説を~文章をひたすら執拗に書き進めてゆく。その語り口は、ある意味ぶっきらぼうとも言えるような文体であり、読んでいく内に、砂漠の中で迷ってしまったかのような、乾いた気持ちになる。なんだ!この乾いた気分は・・・!実際、ここ数日、水ばかり飲んでいる。喉が渇いてどうしようもないのだ。

しかし、この作家はどうしても、言葉を書くことを辞められない。誰にもわかってもらえなくても、この先永遠に誰にもわかってもらえなくても~とこの女性の病にも似た「読むこと書くこと」の執着は結局、終生衰えることは無かった。そして、戯曲、詩、小説などを残している。2011年に他界。

わずか4歳で「読む」という病にとりつかれた少女は掃除も洗濯も放り出し、食器を洗うことさえせず、アイロンがけも食事を作ることもせず、雑誌や新聞などをただひたすら「読む」のだった。そして、まったく書かなかった。水道も電気も電話も通っていない家で、彼女は周囲から「なんにもしない」と疎まれさえする。(書くことを始めたのは、14歳になって兵舎と修道院を足して2で割ったような寄宿舎に入ってからのことだった)しかし、まっすぐに信じて初期衝動に従う姿勢から、やがて、彼女の内面を「人に読めるような形にまで作りこむことが出来た」最初の作品「悪童日記」が出版されて評価を得る。注目すべきは、「悪童日記」からの一連の作品、三部作が、自身の子供の頃に培った従姉妹、兄弟などの強い絆が基盤になって書かれているということだ。

晩年になって、彼女は、その頃の恵まれていた日々を小説に書こうとして、散々努力したらしい。しかし、その作品は、結局世に出ることはなかった。

言葉が落ちてくる。そしてその言葉を繫げて詩を作る。・・・アゴタ・クリストフの文章には、間違いなく静寂がある。

昨日は、すべてがもっと美しかった。木々の間に音楽

僕の髪に風 そして、君が伸ばした手には太陽。

 

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