ルイザ若草物語を生きたひと
ルイザ・メイ・オルコットの波乱万丈な人生を振り返る。若草物語もそうなのだが、この家族に流れる一筋のなにか「不屈の精神性」・・たぶん、プロテスタンティズムに魅かれる。お母さんのアッバもお父さんのブロンソンもお互いに信仰を介して尊重しあうということを、生涯貫き通す。思想家のブロンソンは人柄は良く精神も信仰的であるが、その少々理想主義的すぎる性格のゆえに、家族がさんざん振り回される。しかし、ジョーの性格そのもののルイザにとっては、かけがえのない「お父様」なのである。
南部戦争で傷ついた兵士の看病を志願して看護婦になるが、伝染病で死に掛けてしまうオルコットを救ったのもこの「お父様」だった。家にまったくお金がなくなると、アッバは、貧民街に出向いていき、ソーシャルワーカーのような仕事を始める。家族ひとりひとりが、行動的で「生きる」ことに前向きなのである。オルコットは、ブロンソンとわずか数日違いで亡くなっている。
残された幼い姪っ子のぶんに至るまで、遺産はすべて分配されていたと言う。きっちりきっかり生ききった、という感慨が残る。そして、また、若草物語を読むと、多少説教くさく感じるぶんもあるが考え考え、現実の自分に咀嚼されていくようにも思う。