moonfishwater28’s diary

気がつくとわたしの心から音楽が奪われていた。取り返そうとするけれど、思い出すのは昔のレコードばかり・・・今はもう手元に無いレコードたちを思い出しながら記憶の隅に眠る音、内側を作る本の言葉を集めたい。

明日にかける橋     ロバータ・フラック

youtu.beロバータ・フラックのバラードは昔から好きでしたが、サイモン&ガーファンクルのカバーのこの曲はふわりふわり空中を浮遊しているような感じです。でも、それが目的の定まらない浮遊ではなくてちゃんと「祈っている」浮遊感。ふわふわ祈っている感じが心地良いです。

ベル・ジャー   シルビア・プラス著

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正気と狂気のはざまで、主人公のエスターは、どうやって生きてゆこうとしているのか。「ベル・ジャー」とは、クッキーなんかを入れる蓋のついたガラス瓶のこと。エスターはいつも、この「ベル・ジャー」の中で生きている気がしている。自分の吐く息で、自分自身、息が詰まっていくような・・・19歳の心情。シルビア・プラスの自伝的小説、と言う風に読んでみれば、8歳の頃から詩や文章を書く才能があり、数々の賞を採っている~というドキュメンタリーの部分は書かれていないことになるが、ここに母親が期待の多くを娘に賭けてしまった、という見方は出来ないだろうか。

成績でAを採り続け、趣味らしい趣味はなく、ただひたすら「母親の期待」に応える人生を歩んできたエスターには、「自分自身」というものが形成されていなかったのだろう。

たとえば、「日常を生きる」ということを、知らない。そのことが地獄であり不幸なのだ。

夏期講座で、ある作家の指導を受けられるということで、申し込んだ彼女の作品が選考に落ちてしまう。エスターには絶対的な自信があったのにも関らず。

そして、がたがたと坂道をころがりおちてゆくのである・・・・

狂気の中に埋没してしまったかのように思われたとき、彼女は「自分らしく生きてゆく」方法の一端を手に入れる。しかし、ラストシーン近くのエスターは、やはり痛ましく感じる。

彼女は完全な自由を手にした。付きまとわれていた同性愛者のジョーンは自殺してしまい、気に入らないボーイフレンドのバデイはあきらめ顔で突き放してくる。病院からは、当分母親と暮らさないようにと通達されている・・・・そして、男性不信を乗り越える為に避妊具まで装着し、行動する。

しかし、エスターは、あまりにも傷つきすぎている。

 

1963年、二人の幼い子どもを残して自殺したシルビア・プラス。この小説は自殺直前に出版されている。ゲラがあがったとき、彼女は大笑いしてこの原稿を破り捨てたと言われる。

 

シルビア・プラスもエスターもただの一度も「自分の感情」というものを味わったことがなかったのだろうか。プラスの詩も興味深い。いつか読んでみたい。

一緒に作ろう      カード作り

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ひとり4枚づつ配り、同じカードを4枚集められたら、真ん中に置いたキャンディを掴みます。要らないカードを1枚裏にして隣りの人に回します・・・キャンディは人数よりひとつ少なく置きます。取れなかった人が負け。4人以上で遊びます。

 

ボブという名のストリートキャット

 

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猫が人間を救う物語が絶対あるはずだと検索して行き当たり、読んだ本です。ストリートミュージシャン、ジェームズ・ボーエン氏が猫の友達を得て立ち直ってゆくさまを描いている。ジェームズ氏の良い所はどんな時でも、素直で正直なところ。かっこ悪いところも隠さないところ。唄も聴いてみたいな、と思います。映画化はされているようですが、CDの話は聞こえてきません。それにしても、茶トラのボブとボーエン氏のしあわせそうな姿が、ほほえましいやらうらやましいやら、です。

ニルヴァーナ、カート・コバンのヴォーカル

 

 

上記の、ロンドンでバスキング(路上での弾き語り)をしているジェームズ・ボーエン氏が、よく歌うと言っていたニルヴァーナを検索してみました。なかなかヘビイな歌声です。

小坂忠     Nobody Knows

youtu.beこの頃、日曜日になると教会に行っています。礼拝のあと、ゴスペルの練習に誘われることがあります。いつも辞退して帰って来てしまいますが。ここで静かに聞いて居ます。

ちなみに、わたしの教会は忠さんの教会とは無関係です。

ウンベルト・サバ詩集     みすず書房  須賀敦子訳

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カッフェラッテ

 

つらいと

おもう。そうなってほしい

とおもうだけ、おもうように

なってくれない。

 

もうすこしだけ、いとしい

少女よ、

ぐっすり眠りたい、彼女はおもう。

すこしだけ

目をあいたまま、夢みていたいと。

やがて、しずかに、揺り籠に

身をささげた、

老い

召使が入ってきて、

 

待ちこがれた飲みものを

さしだして、くれたら。

ミルクはアルプスのミントの香り、

黒い

カッフェは海の彼方の薫り。だが、

寝床のそばにいるのは、彼女の母親、

むっつりとさしだす

家庭用ブレンド。

 

ほんとうなら、ゆっくりと

起きて、

生活が、聞きとれぬほどの囁きみたいに

しか入らない

部屋がほしいのだけれど。彼女を待っているのは、

ふんわりとしたアームチエアと本が一冊。

それから、おしゃべりでない

考えがひとつ。

 

それなのに、いつもの

うるささで、

母親の声がせきたてる、

お仕置きみたいに

おそろしい、一年まえから、

白いのは白いシーツだけではなくて。

カッフェラッテでないのを、

ぐっと飲む。

 

つらい気持で、

起きる。だが、ゆっくりと

戻ってくる

幸福の想い。

 詩集は、声を出して読んでみると、空気に色がつくように声と言葉が一緒になって、別の景色が見えてくることがあります。この詩集も、心の中で読んでいるだけではわからない何かが、空気に触れた途端に動き始めます。